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ね、君が行きたいところへ行こうよ

ね、君が行きたいところへ行こうよ

第十一話 クマさんの部屋

「クマさん!」

その日、コトリがクマのもとへ遊びに行くと、

そこは、木の葉やら木の実やら、
かわったカタチの石やら、
コケがいっぱいついた緑の石やら、

それはそれは、いっぱいに広がっていました。



「これ・・・
クマさんの?

どうするの?」





「うん・・・。」



クマは、自分の立ってる場所以外、歩くところもないような様子の中、
その場に呆然と立ちすくんでいました。





「これ、クマさんの大事にしてたものでしょ?」


「うん」





「かたずけてたの?」


「うん」





「でも、これじゃ、動けないよね。
手伝うから、一緒にしまおうよ」


「うん。ありがとう」







それから二人は、夜になるまで、
その1つ1つを大事に大事にかたずけました。


なかには、いらないものもあったり、

こんなところにあったんだ・・・と、
ビックリするくらい古い宝ものまで、




すっかり夜になって、
片付けも終わって、

フト見渡すと、

なんだかクマの部屋は広くなっているように見えました。





「ここにね・・・」





クマはふと、空いた場所に柔らかな緑の葉を置き、
その上には、薄い桃色のお花を幾つも並べ、





「ここにね、

キミの場所をつくりたかったんだよ。」









お月様が綺麗な夜・・・

クマさんのプロポーズの言葉でした。


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